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今年の秋冬企画は早めの製作。
画像は前に洋服向けに描いたレース柄です。ちょっとベルベットな感覚があります。
羽裏は今月末でひとまず締め切りがあるのですが(6月1日のショーケース京都向け)、全体山紫水明といきたいところですが、どんどん違う方向にすすんでおります。それもよし。
(芝崎)

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いや、挑んではいない!

今や江戸小紋は、ただの文様、デザインの中の一つだ。そういう見方もできる。
武士が互いのプライドを張り合うためのツールでもないし
奢侈禁止令が出ているわけでもない。
しかし古布で江戸時代の実物を手にすると、その集中力、
布の持つ力が尋常ではなく、つまり日本刀の切っ先と同様の
テンションをこの21世紀でも与え続けられるなにか、
なにかが備わっているのだ。この魅力は離れがたく、
ずっと自分の中にあり、ことあるごとに一つずつ近づいて行こうと
していることに気付く。そしてさらにもやもやとしたなにか、
壁のような物にあたるのだ。たとえば、
1.大松染工場にて(金子の元いた職場)木綿に江戸小紋を染めてもらう。
2.デジタルプリントで、江戸小紋を染める。

美なのか、近代の魅力なのか。

いつでも、そんなものは作れると思っていた。CGまでは、完璧だ。
処理速度、一度に扱えるデーター量もスペックも、今では充分にある。
ゆかたのデザインの仕事で培ったリズムが、ぺたっとした横広がりの、
今ではもっさりした印象の構図から開放してくれるだろう。いつでも作れるんだ、
でも今じゃない、伝統柄でない江戸小紋なんて、着る人居ないだろうし。そう思っていた。

震災後、動きがかわった。
意味ある物を作りたい、技術を本当に具体的に残さねば。
本格的な今ならではのなにか、デザインされたものを作りたい...
前後はあるが、同時期に2社からのデザイン制作の依頼があった。
瞬間的に、「できる」と、言い切って受けた。

1社からは、デザインテーマがあり、それに添って江戸小紋の手法で仕上げる事。
もう1社は、着る人のテイストに照準をあてデザインをし、
自社でできるスキルの最高を残したいとの依頼。
自分なりの「今現在の流行」と「リズム」「モチーフ」をピックアップ、
できない物は捨て、ボリュームを直しつつ図案にしあげていった。
先に形、リズムを決め、そこに細かい加工を入れこんでいった。
ここまでの仕事は、いつも通りにちょっとテクニックを足した、慣れている道だった。
そこからが大変だった。ちっとも進まない。進んでいる気がしない。
たとえば..

1社にラフの仕上りをみせ、職人とうちあわせるとのこと。
返事が無い。染まらない、きちんと染めるにはこの型紙ではだめだ、やったことない、
やってみないとわからない。
急いで手元の似ている江戸小紋を送り試し染めの依頼をする。待つ。待つ時間がもったいない。
細かすぎたのか、引き染めは諦めるか..だめだ、負けちゃダメだ。祈るように待つ。
「この企画はその細かさがないと、意味が無いのだ。引くつもりはまったくなかった。
ふざけんなここまで来て。意味が無いじゃないか。江戸っ子ならやるんだ、
だいたい社長が言い出したんだ、技術を残そうって。悪口が頭をめぐる。

さてもう1社の方は、まったく新しいデザインとなる。型の複雑さ、
細かさは江戸小紋に勝るとも劣らないが、絵のタッチが油絵、エキゾチック、
石盤画風のタッチ。洋花。さて、洋花に御客様は着いて来るのか?何度も問うた。
「いいんです芝崎さん、美しい物をつくりましょうよ」
そこまで言うなら、もう知らない。これでもかと突き進み仕上げをする。
オッケーいただき、本データー制作になった。

「人力では、無理」
昔の人の身体能力は、各分野で言われているように、真似ができない、本当にキリが無い。
電気の力、パソコンの力を借りないと無理なのだ。なにせ「送り」
(繰り返して染めるため、つなぎ目が発生する)の部分が、人力ではうまくつくれない。
達人は今でもいらっしゃるはずなのだが、次世代それを育てる仕事量がないのだ。
終わる技術をやってもらうのは今回の企画の趣旨ではない。
しかし我々の技量が天才的に優れているわけも無く、多少他の人より辛抱強いことくらいで、
パソコンの力をかりなければ実現できない地平まで来ていたのだ。電気用のデータ化を
することになる。
半自動、半手作業。終わらない。進んでいる気がしない。時間感覚が
おかしくなり、1週間が矢のように早くなって来る。1日12時間くらいやっていると、
水平感覚がおかしくなり、たとえば階段降りるのが四苦八苦。
まあいい。私はこれらの図案を、型紙を愛している。
図案の相方、大島さんもノって描いてくれて、スピード感ある形を作ってくれた。
送りのところのデータ化をしくじってはならない。大丈夫大丈夫....

工場へはメールで転送、そこはかぎりなくあっさりしたものであるが、
画面を見て向こうもぎょっとしたのだろう、見積りも微妙な数字で来た。
かけ算すると今までの図案型代を遥かに上回るものとなる。しらん。
どうしてもこれは、私がやってみないと、突破口をひらかないと腹をくくる。
売れる。着てくれる。見てくれる。素敵になってくれる。工場とはなによりも、
時間の見積りを電話でやりとりし、どう考えても助っ人を派遣しないと終わらない、
パソコンも一晩で1枚彫れるかどうか(一晩とは10時間の事)、
そんなボリュームだという事が解って来た。

なんて物を作ってしまったのか...
私たちは修行しているのではない。あくまでも、たかが、ゆかたの、商品企画をしているのだ。

それから型の手作業が始まる。スケジュールを換算すると、とんでもない、
これは助っ人を派遣しないとどうにもならない。間に合わない。
ビックリするほど手作業の分量が多いのだ。店長金子と、新人渡邊さんを派遣する。
そこから先だ。尋常じゃない作業が待っていた。
まず、電話が来ない。やばい。がんばれ。
やっと夕方つながり、「時間見積りどうですか」
「あと、そうですね、16時間くらいじゃないですか?社長その他、
こっちでは5人、図案のむこうとこっちで2人掛かりでやってますよ。大変ですよ」
すまん、もう聞かない、なにかの間違いだ...
これは、昔の職人がしかけた罠だ、挑戦状だ..
うっかり拾っちゃったんだな、私が、依頼した2社の社長が、開けてはならん箱を開けたのだ..
興味本位、人間が持っているあの当然の権利。しかしここで、今か..

さて、件の2人が帰って来た。
戦場から戦士が帰って来たような、顔つきが違ってた。
「ひさしぶりだなここ」「36時間前じゃないですか」意味不明な会話をしながら、
新しい顔つきになって2名が帰って来た。結局、夜中遅くまでやっていたため、
泊まるところも無く、インターネットカフェで仮眠して朝早くまた工場に戻り、
午後帰宅したとのことだった。すごい。えらい。どう褒めたら良いかわからない。


さて、20日、22日と染めに入る。なんとしても染めてもらわねば。
予備の職人の手配もし、染めの技法の受け継ぐ流れも作っておくことにする。
うまくいくはず、多分...以下次号...


伝統工芸好き、職人になりたいという人がたくさんいる。
それは幸せな事だ。ありがたい。
そう言う人は、なにか一つやってみるといい。
前よりすぐれたものをつくろうとしてみるといい。
それがおそろしく、甘美な、エネルギーを吸い取る、大勝負になろうとは....
人は、肉体は滅んでも、なかなか存在は消えないのだ。

人は、いろんな事と戦っている。疲れたろう。
戦士のうちは狂わなくて大丈夫。苦しいのは、君が戦士だからだ。
着るが良い。見ほれてくれ。甘い誘惑に勝てる物はいない。
まったく違う、人生が待っている。

つづく

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昨日は久々に日本橋へ。
桐生の帯は、ポリエステル半幅の産地ということもあり、わりと馴染みがあるのですが、
名古屋帯、カジュアルっぽいしゃれっぽいものはじっくりみた事がなくて、素材を探しに行きました。
麻の透かし織りのものがすてき。ろうけつしたいとか、捺染とか、絞り染めに良いと思うものが並んでいました。
今後に期待をもちたいのですが、産地のメーカーも少なくなってしまい、なにか定番でヒット作出すしかないのかも?ていう感じ。
あの麻は取り組みたい材料でした。
数社問屋さんめぐり、軽い感じの綿の半幅をみつけました。腰紐というより、たすき?柄物の紐とあわせてわけてもらいました。夏の準備が進んでいます。

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